※リンパ小疱の症例写真
リンパ小疱は、リンパ浮腫のある部位にできる小さな水ぶくれです。
特に陰部にできやすく、
・ヒリヒリした痛み
・透明な液が漏れ出てくる
といった症状を伴うことがあります。
蜂窩織炎を繰り返しやすくなり、
リンパ浮腫の悪化につながることがあります。
「水ぶくれがある」「液が漏れる」といった症状がある場合は、
放置せずにお気軽にご相談ください。
陰部にポツッとしたできものができたとき、
「リンパ小疱」か「おでき」かで対応が変わります。
「透明な液が多く出る」「なかなか治らない」
場合はリンパ小疱の可能性があります。
リンパ小疱は、リンパ管がふくらんで
皮膚の表面に出てきたものです。
■ なぜできるのか
リンパの流れが悪くなると、
リンパ液がたまり、
リンパ管が水風船のようにふくらみます。
このふくらんだリンパ管が、
皮膚の浅いところに出てきたのが
リンパ小疱です。
■ 中で何が起こっているか
通常のリンパ管はとても細いですが、
リンパ小疱では大きく拡張しています。
また、陰部のリンパ小疱には、
足・お腹・お尻など
さまざまな方向からリンパ液が流れ込みます。
そのため、
ふくらみやすく、
症状が悪化しやすくなります。
陰部の症状は相談しにくいと感じる方も多いと思います。
当院では女性医師が診察を行っていますので、
安心してご相談ください。
これらを組み合わせて、根本的な改善を目指します。
リンパ小疱には、さまざまな方向からリンパ液が流れ込んでいます。
そのため、切除だけでは再発しやすい状態です。
最近では、リンパ液の流れを評価し、流入をコントロールするようにLVAを併用することで、再発を大きく減らすことができるようになってきました。
手術後も、可能であれば圧迫療法を継続することで、再発しにくくなります。
体重のコントロールも、再発予防において非常に重要です。
リンパ小疱は、適切な治療により改善が期待できます。
気になる症状がある場合は、早めにご相談ください。
リンパ小疱のある部分を、まとめて木の葉型に切除します。
水疱を1つずつ取るのではなく、ひとつの範囲として切除し、縫い閉じます。
リンパ小疱がなくなり、
といった改善が期待できます。

これまで、リンパ小疱の原因は解明されていませんでした。私たちは、リンパ小疱の患者さんを治療していく中で、リンパ小疱の病態を解明し、国際雑誌で発表してきました。
論文要旨・和訳
(背景)リンパ浮腫にはリンパ小疱が合併することがあるが、その病態はいまだ解明されていない。われわれはリンパ小疱の病態を理解するため、病理学的な研究を行った。
(方法)2008年3月から2015年12月にリンパ小疱の治療を受けた患者の調査を行った。10人の患者にのべ16回の手術を行い、リンパ小疱を切除した。患者の平均年齢は57.2歳(43~69歳)で、すべて二次性リンパ浮腫をもつ女性であった。手術で切除したリンパ小疱をホルマリン固定し、HE染色を行った。8検体については追加でpodoplanin,染色、LYVE-1染色、CD4染色、CD8染色、CD20染色、CD31染色を行った。
(結果)10人すべてで蜂窩織炎の既往があり、7人では10回以上の蜂窩織炎の既往があった。16検体すべてで真皮乳頭部におけるリンパ管の拡張を認めた。また、臨床的な炎症所見がないにもかかわらず、すべての検体でリンパ球を主体とした炎症細胞の浸潤を認めた。浸潤しているリンパ球は主にCD4+T細胞で、CD8+T細胞やCD20+B細胞も認められた。この3種類のリンパ球の細胞数は、真皮深層よりも浅層で有意に多かった。これは、真皮浅層(真皮乳頭部)で拡張したリンパ管から漏出したものと考えられた。CD8染色を行った8検体中7検体でCD8+T細胞の表皮浸潤を認めた。さらに真皮層ではコラーゲン線維の増生や表皮の肥厚が認められた。また、足にインドシアニングリーン(リンパ管造影剤)を注射すると、陰部のリンパ小疱が造影されたことから、足のリンパ管と陰部リンパ小疱の連続性が示された。
(結論)リンパ小疱の真皮では、リンパ管拡張やコラーゲン線維の増生が認められた。真皮におけるリンパ球の常在化が、リンパ小疱患者に頻発する蜂窩織炎と関連する可能性がある。
(引用元)Hara H, Mihara M, et al. Pathological investigation of acquired lymphangiectasia accompanied by lower limb lymphedema: lymphocyte infiltration in the dermis and epidermis. Lymphat Res Biol. Lymphat Res Biol. 2016 Sep;14(3):172-80.
【参考文献】
・Hara H, Mihara M. Genital lymphaticovenous anastomosis (LVA) and leg LVA to prevent the recurrence of genital acquired lymphangiectasia. Microsurgery. 2021 Jul;41(5):412-420.
・Hara H, Mihara M. Treating and preventing recurrence of recurrent genital acquired lymphangiectasia using lymphaticovenous anastomosis at genital area: A case report. Microsurgery. 2020 Mar;40(3):399-403.
・Hara H, Mihara M. Multi-area lymphaticovenous anastomosis with multi-lymphosome injection in indocyanine green lymphography: A prospective study. Microsurgery. 2019 Feb;39(2):167-173.
・Hara H, Mihara M. Lymphaticovenous anastomosis and resection for genital acquired lymphangiectasia (GAL). J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2018 Nov;71(11):1625-1630.
・Hara H, Mihara M. Indocyanine Green Lymphographic and Lymphoscintigraphic Findings in Genital Lymphedema-Genital Pathway Score. Lymphat Res Biol. 2017 Dec;15(4):356-359.
・Hara H, Mihara M, et al. Therapeutic strategy for lower limb lymphedema and lymphatic fistula after resection of a malignant tumor in the hip joint region: a case report. Microsurgery. 2014 Mar;34(3):224-8.
・Mihara M, Hara H, Narushima M, Mitsui K, Murai N, Koshima I. Low-invasive lymphatic surgery and lymphatic imaging for completely healed intractable pudendal lymphorrhea after gynecologic cancer treatment. J Minim Invasive Gynecol. 2012 Sep-Oct;19(5):658-62.